中国でよくある不正の実情や中国のビジネス事情について国際経験豊富な有限会社ナレッジネットワークの公認会計士、中田清穂氏に寄稿いただきました。
中国不正で最も多い方法の一つでもある得意先や仕入先との共謀するケースについて、対策方法をご紹介しています。参考にしていただければと思います。
従業員が得意先や仕入先と共謀
中国子会社の不正事例の主なものの一つに、従業員が得意先や仕入先と共謀するケースがあります。そしてその得意先や仕入先が、当該従業員と血縁関係にある企業であることも多いようです。
このような事例に対応するためには、どうしたら良いでしょうか?以下は対応方法のひとつとして参考にしてください。
(1) 中国子会社の財務会計システムの得意先マスタや仕入先マスタに、新規登録された企業を把握する。
(2) 次に、(1)の新しい得意先や仕入先について、企業調査をする。
(3) (2)の調査で判明した、得意先や仕入先の経営者が、従業員名簿にある親族と一致していないかどうかを確認する。
もちろん、これで不正がすべて発見できるわけではありません。
重要なことは、新しい得意先や仕入先については、親族が経営しているかどうか、企業調査をしているということを、全従業員に認知させることです。これによって、共謀をする「機会」を減退させることが期待できるでしょう。